一側足場(いっそくあしば)の使用が制限されたのは、2024年(令和6年)4月1日からです。この日以降、幅が1メートル以上ある場所では、原則として一側足場ではなく本足場を使わなければならなくなりました。
▶関連記事:『本足場の原則義務化をわかりやすく解説|2024年4月改正で現場と発注者は何が変わったか』
「戸建て住宅の足場は一側足場で十分」というこれまでの感覚は、もう通用しません。一方で、幅1メートル未満の狭い場所や、障害物がある場所では、今も一側足場が使われています。この記事では、一側足場とはどんな足場か、改正後に使える場所と使えない場所、狭い敷地での選択肢、発注する側が見積もりの段階で確認すべきポイントを、滋賀県大津市で2004年から足場工事を手がける株式会社マスギが解説します。
一側足場の使用制限はいつから始まった?
2023年3月に改正省令が公布され、2024年4月1日に施行されました。
改正の流れを整理すると、次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023年(令和5年)3月 | 労働安全衛生規則の改正省令が公布 |
| 2023年(令和5年)10月1日 | 足場の点検者の指名、点検者の氏名の記録・保存が義務に |
| 2024年(令和6年)4月1日 | 一側足場の使用範囲の明確化(幅1メートル以上の箇所では本足場が原則) |
公布から本足場の原則化の施行までは、1年ほどの準備期間が設けられました。2024年4月以降に組む足場は、新しいルールに沿って計画する必要があります。
改正で何が変わった?
改正前は法令上の使用範囲がはっきりしていなかった一側足場が、「幅1メートル未満の場所」か「例外に当たる場所」に限られるようになりました。
労働安全衛生規則に新設された第561条の2で、幅1メートル以上の箇所では本足場を使うこと、ただし、つり足場を使う場合や障害物などで本足場が困難な場合は例外とすることが定められました。
条文の詳しい読み方、幅の測り方、例外の具体例は、本足場の記事でまとめて解説しています。この記事では、一側足場の側から見たポイントに絞ってお伝えします。
一側足場とはどんな足場?
支柱(建地)を1列だけ立てて組む足場です。狭い場所でも組める反面、作業床が狭く、手すりなどを設けにくいという弱点があります。
本足場が内側と外側の2列に支柱を立てるのに対し、一側足場は1列の支柱で構成します。代表的なものに、次の2つがあります。
| 呼び方 | 構造 | 特徴 |
|---|---|---|
| ブラケット一側足場 | 1列の支柱にブラケット(腕木)を取り付け、作業床を載せる | 狭い場所でも作業床をつくれる。戸建て住宅で多く使われてきた |
| 抱き足場 | 作業床を設けず、支柱と横の部材に体を預けて作業する | 作業床がないため、墜落制止用器具の使用が前提になる |
厚生労働省の資料では、一側足場は「主に狭あいな現場で使用される」足場で、その構造上、本足場と同じ手すり等の墜落防止措置の規定が適用されないものとして整理されています。狭い場所に強い反面、墜落防止の面では本足場に及ばない。これが、使用範囲が絞られた理由です。
改正後も一側足場を使えるのはどんな場所?
「幅1メートル未満の場所」と、「つり足場を使う場合や、障害物などで本足場が困難な場所」です。
判断は「①足場を立てる場所の幅が1メートル以上あるか ②1メートル以上なら、例外に当たるか」の順で行います。幅の測り方(公道にかかる部分、使用許可が得られない隣地、管理の範囲外の場所は幅に含めない)と、例外に当たる4つの具体例は、冒頭でご案内した本足場の記事で詳しく解説しています。
ここで見落としやすいのは、判断は建物全体ではなく「面ごと」「箇所ごと」に行うという点です。同じ住宅でも、道路側の面は本足場、隣家との間の狭い面は一側足場、というように使い分けることになります。
また、幅1メートル未満の場所であっても、厚生労働省は可能な限り本足場を使うよう求めています。「1メートル未満だから一側足場でよい」ではなく、「本足場が組めないか、まず検討する」のが改正の趣旨です。
一側足場を使うときに気をつけることは?
作業床と建物のすき間、墜落制止用器具の使用、そして手すりなどの補強の3点です。
- 建物と作業床の間隔:おおむね30センチ以内が望ましいとされています。すき間が広いと、そこから墜落するおそれがあります
- 作業床がない場合の墜落制止用器具:抱き足場のように作業床を設けられない高さ2メートル以上の場所では、フルハーネス型の墜落制止用器具を使い、作業者には特別教育(2019年2月1日から義務化)を受けさせる必要があります
- 障害物で建地を一部1本にする場合:足場が揺れたり倒れたりしないよう、十分な強度を確保する必要があります
- 墜落のおそれがある箇所への措置:高さ2メートル以上の作業床の端など、墜落の危険がある場所では、囲いや手すりなどの措置が求められます
一側足場は「規定が適用されないから何もしなくてよい足場」ではありません。規定の外側にあるからこそ、組む側の配慮と技術が問われる足場だといえます。
狭い敷地で一側足場以外の選択肢はある?
隣地の使用について了解を得る、幅の狭い部材で本足場を組む、面ごとに工法を使い分ける、といった方法があります。
隣地の使用について了解を得る
幅の判断では、「使用許可が得られない場合」は幅に含めないとされています。裏を返せば、隣地の所有者の了解が得られれば、その分を含めて本足場を組める場合があるということです。隣地を使わせてもらうときの手順と、事前に伝えるべき内容は、近隣配慮の記事にまとめています。
部材と組み方を工夫する
単管足場やくさび式足場は、部材の組み合わせの自由度が高い工法です。現場によっては、幅の狭い部材を使うことで、1メートル前後の場所でも本足場に近い形で作業床と手すりを確保できる場合があります。どこまで対応できるかは敷地条件しだいなので、現地調査で確認します。
面ごとに使い分ける
建物のすべての面を一側足場にする必要はありません。幅のある面は本足場、狭い面だけを一側足場や工夫した組み方にすることで、安全性を確保しながら、敷地条件にも対応できます。
発注者が確認すべきポイントは?
見積もりの段階で「どの面を、どの足場で、なぜそうするのか」を確認してください。
- 面ごとの足場の種類が書かれているか:見積書や図面に、本足場と一側足場の区分が示されているか
- 一側足場の面の幅:外壁から境界まで何センチあるのか、実測しているか
- 一側足場にする理由:幅1メートル未満なのか、障害物などの例外に当たるのか、具体的に説明されるか
- 隣地使用の検討:隣地の了解を得れば本足場にできる面がないか、検討されているか
- 一側足場の面の安全対策:建物とのすき間、墜落制止用器具、手すりなどの対策が考えられているか
特に注意したいのが、「戸建てはみんな一側足場ですよ」「そのほうが安くなります」という説明です。改正後は、費用や工期の都合は一側足場を選ぶ理由になりません。幅が1メートル以上ある面を一側足場で組む見積もりが出てきたら、例外に当たる理由を必ず確認してください。
改正で足場の費用は上がった?
本足場にする面が増えれば、支柱や布板などの部材と組立ての手間が増えるため、費用は上がる傾向があります。
ただし、上がり幅は建物の外周・高さ・面ごとの幅・工法によって大きく異なり、一律にはいえません。相見積もりを取るときは、「どの面を本足場にするか」という前提をそろえて比較することが大切です。前提が違う見積書を金額だけで比べると、安全面で劣る足場を選んでしまうおそれがあります。
株式会社マスギは狭い現場にどう対応している?
現地で幅を測り、面ごとに「本足場にできないか」から検討します。一側足場を使う面がある場合は、その理由と安全対策をご説明します。
株式会社マスギは、単管足場やくさび式足場を中心に、戸建て住宅から集合住宅、ビル改修まで幅広い現場で足場を組んできました。住宅が密集した場所や、隣家との距離が近い現場も少なくありません。
狭い現場ほど、部材の選び方と組み方の引き出しの多さが問われます。法令を守ることを前提に、そのうえで後工程の職人が作業しやすい足場をつくる。「使う業者様のことを第一に考えた足場造り」を、狭い現場でも変えずに続けています。
よくある質問
Q. ブラケット一側足場はもう使えないのですか?
使えなくなったわけではありません。幅1メートル未満の場所や、障害物などで本足場が困難な場所では、引き続き使うことができます。ただし、幅1メートル以上の場所では、原則として本足場を使う必要があります。
Q. 幅1メートル未満なら、必ず一側足場になりますか?
必ずではありません。厚生労働省は、幅1メートル未満の場所でも可能な限り本足場を使うよう求めています。部材の工夫や隣地の了解によって、本足場にできる場合もあります。
Q. 平屋や2階建てのような低い建物でも対象ですか?
第561条の2の条文には、建物の高さによる区別はありません。低い建物でも、幅1メートル以上の場所で足場を使う場合は、原則として本足場が必要と考えてください。
Q. 一側足場で組むと言われましたが、理由を聞いてもいいですか?
ぜひ確認してください。幅1メートル未満なのか、障害物などの例外に当たるのかを説明できるのが、改正後の足場業者に求められる姿勢です。理由がはっきりしない場合は、ほかの業者の見積もりと比べてみるのも一つの方法です。
Q. 一側足場について、さらに規制が強まる予定はありますか?
本記事の執筆時点では、一側足場の使用範囲をさらに狭める新たな改正は確認できていません。ただし、足場の安全基準はこれまでも段階的に強化されてきました。最新の情報は、厚生労働省や労働局の発表で確認してください。
滋賀・京都・大阪の足場工事は株式会社マスギへ
滋賀県・京都府・大阪府で、狭い敷地や法改正に対応できる足場業者をお探しなら、株式会社マスギにご相談ください。
- 2004年(平成16年)創業。滋賀県大津市を拠点に、滋賀・京都の各地で施工しています
- 単管足場・くさび式足場に加え、吊り足場・素屋根・仮囲い・仮設トイレの設置まで対応します
- 戸建て・アパート・マンションから、ビル改修・団地・老人ホーム・タンク新設まで実績があります
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株式会社マスギ
- 所在地:〒520-2279 滋賀県大津市黒津5丁目3-5(資材センター)
- 電話:077-546-3163(資材センター)
- 営業時間:8:00〜17:00(定休日:日曜日 他)
- 建設業許可:滋賀県知事許可(般-1)第13288号
- 公式サイト:https://masugi-otsu.com/
事前のご相談・お見積もりは無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
参考・出典
- 厚生労働省「足場からの墜落防止対策を強化します。~令和5年10月1日から順次施行~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40439.html
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要」(労働政策審議会安全衛生分科会資料) https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001057032.pdf
- 厚生労働省 資料「一側足場の使用範囲(幅1メートル以上の考え方・例外)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001257199.pdf
- 山梨労働局「足場からの墜落防止措置が強化されます(規則制定の趣旨と内容)」 https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/content/contents/001499451.pdf
- 滋賀労働局・大津/彦根/東近江労働基準監督署「足場に関する労働安全衛生法上の規定について」 https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001495778.pdf
- 鳥取労働局「墜落制止用器具を用いて行う作業に係る特別教育」 https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/news_topics/topics/_121030/_121331_00009.html
- 株式会社マスギ 公式サイト https://masugi-otsu.com/


